帯状疱疹ワクチン接種について
当院では、帯状疱疹ワクチン(シングリックス®、乾燥弱毒生水痘ワクチン) の接種を行っています。近年注目されている帯状疱疹は、50歳を過ぎると急激に増える疾患であり、一度発症すると強い痛みや長期にわたる後遺症を残すことがあります。
その予防に最も有効とされているのが帯状疱疹ワクチンです。特に現在は「シングリックス®」という不活化ワクチンが広く推奨されています。
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、その原因ウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」が再び活性化することで発症します。子どものころに水痘にかかった方は体内にウイルスが潜伏しており、加齢やストレスで免疫力が落ちると神経に沿って炎症を起こし、痛みと発疹を生じます。
50歳を過ぎると発症率が大きく上がり、日本では毎年約60万人が帯状疱疹にかかっているといわれています。
放置するとどんな合併症があるか
帯状疱疹は発疹が治った後も、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」 と呼ばれる強い痛みが長期間続くことがあります。夜眠れないほどの痛みで生活の質が大きく低下し、数か月から数年続くことも珍しくありません。
その他の合併症としては
- 目にできれば 角膜炎や網膜炎 → 視力障害
- 顔にできれば 顔面神経麻痺、耳鳴り、難聴
- 下半身にできれば 排尿・排便障害
といった深刻な後遺症を残すことがあります。これらは治療が難しく、発症そのものを防ぐ予防接種が最も重要です。
帯状疱疹ワクチンの種類
現在使われているワクチンは2種類あります。
乾燥弱毒生水痘ワクチン(従来型)
- 接種は1回のみ
- 発症予防効果は 約50%前後 にとどまり、十分とはいえない
- 効果の持続は5年程度で、高齢になるほど効果が低下する
- 健康な人向けで、免疫が低下している方には接種できない
シングリックス®(不活化ワクチン)
- 2回接種(2か月間隔)
- 発症予防効果は 90%以上 と非常に高く、年齢にかかわらず安定
- 効果は10年以上持続するとされている
- 不活化ワクチンなので、免疫が低下している人にも接種可能
- 接種部位の痛みや発熱などの副反応はやや出やすいが、数日で回復する
このように、生ワクチンは発症予防効果が50%前後と限定的である一方、シングリックス®は90%以上の高い予防効果があり、持続も長いことから、現在はシングリックス®が第一選択とされています。
江東区の助成制度について
江東区では、50歳以上の区民の方を対象に帯状疱疹ワクチン接種の助成が行われています。
- 対象:江東区に住民登録がある50歳以上の方
- 助成期間:令和8年3月31日まで
- 助成対象ワクチン:シングリックス®、乾燥弱毒生水痘ワクチンの両方
自己負担を抑えて接種できる貴重な機会ですので、この期間に接種することをおすすめします。
接種の流れ
- 医師による問診と体調確認
- ワクチンの説明と同意
- 接種(シングリックス®の場合は2回)
- 接種後15分程度の経過観察
副反応としては、腕の腫れや発熱、倦怠感などが一時的に出ることがありますが、数日で回復するのが一般的です。
当院からのメッセージ
帯状疱疹は「かかってから治す」のではなく「かからないように予防する」ことが大切です。
- 帯状疱疹は50歳以上で急増する
- 帯状疱疹後神経痛などの合併症は生活の質を大きく下げる
- 生ワクチンは発症予防効果が50%前後と限定的
- シングリックス®は90%以上の高い予防効果があり、長期持続
- 江東区では50歳以上の方に助成あり(令和8年3月まで)
「まだ大丈夫」と思っていても、免疫力の低下は誰にでも起こります。ぜひこの機会に接種をご検討ください。
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