伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)
首が腫れる病気の一つに、伝染性単核球症という病気があります。主にEBウイルスというウイルスの感染によっておきますが、重篤な合併症を来すこともあります。
どんな病気?
EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)などが原因で起こる感染症です。
主に唾液を介して感染し、別名「キス病」と呼ばれることもあります。
乳幼児では軽くすむことが多いですが、学童期〜思春期では症状が強く出る傾向があります。
主な症状
- 発熱(38℃前後が数日~1週間続く)
- のどの強い痛み・扁桃腺の腫れ
- 首のリンパ節の腫れ(左右ともに、複数が腫れる)
- 全身のだるさ、倦怠感
- 肝臓や脾臓が腫れることも → お腹を強くぶつけると破裂の危険あり
- 血液検査では、”異形リンパ球”という特殊なリンパ球の割合が増えます。
症状がかぜや溶連菌感染症と似ているため、検査で区別が必要です。当院では溶連菌の迅速検査を行い、鑑別を行っております。
感染経路と潜伏期間
- 感染経路:唾液(コップ、食器、キスなど)、密接な接触
- 潜伏期間:感染してから4〜6週間後に発症
診断
- 症状と診察から判断
- 必要に応じて血液検査
- 白血球(リンパ球)の増加
- EBウイルス抗体検査で確定
- 溶連菌やアデノウイルスとの区別も重要です
治療
特効薬はありません。 体を休めて自然に回復するのを待ちます。 治るまで2~3週間かかることもあります。
- 解熱鎮痛薬で発熱やのどの痛みを和らげる
- 水分・栄養をしっかり摂る
- 抗生物質は原則使用しません
- 誤ってアモキシシリン系抗生物質を使用すると発疹が出ることがあります
合併症
- 脾腫(ひしゅ)・脾臓破裂
- 伝染性単核球症では脾臓が腫れることがよくあります(発症者の50%以上)。
- 腫れた脾臓は非常に破裂しやすく、お腹をぶつけると大出血して命に関わる危険があります。
- 発症後3週間以内が最もリスクが高いです。
- 無菌性髄膜炎・脳炎(まれ)
- 強い頭痛、嘔吐、光をまぶしがる、意識がもうろうとする
- 髄膜炎や脳炎を疑い、入院管理が必要です
- 肝障害(肝炎)
- 発症初期に一時的に肝臓が腫れる・肝機能が悪化することがあります
- 多くは自然に回復しますが、**黄疸(肌や白目が黄色い)**が出た場合は注意が必要
- 気道閉塞(扁桃腺の強い腫れ)
- 溶血性貧血・血小板減少症(まれ)
- 血球貪食症候群(まれだが非常に重篤)
合併症の不安がある方は、速やかに受診してください。 - 登園・登校について
- 発熱や全身症状がなく、元気が戻れば登園・登校できます
- 脾臓が腫れている場合は運動を禁止するため、体育・部活はしばらくお休みが必要です
受診の目安
以下の症状があるときはすぐに受診してください。
- 水分がとれず、尿が減っている
- 激しい腹痛や、左わき腹をぶつけて強い痛みがある(脾臓破裂の可能性)
- 高熱が続いてぐったりしている
- 首のリンパ節が急に大きくなった
- 呼吸が苦しそう
まとめ
- 伝染性単核球症はEBウイルスによる感染症で、発熱・のどの痛み・リンパ節腫れが特徴
- 自然に回復しますが、合併症に注意が必要
- 運動制限を守り、家庭では水分補給・安静を心がけましょう
- 食器やタオルを分け、家族内感染を防ぎましょう
清澄白河地域にお住まいの皆様が、子どもと健やかに過ごせるよう、当院は子どもの健康を全力でサポートいたします。
ご予約はこちらから
ご予約はWEBから承っております。ご心配な症状がある場合は、まずはお気軽にご連絡ください。
