高血圧
高血圧とは
高血圧は、血圧が正常範囲を超えて高い状態が続くことを指します。
自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、心臓病や脳卒中、腎臓病など、命に関わる重篤な病気を引き起こすことから、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれています。
皆さまの中にも、健診で指摘されたものの「特に症状もないし…」とお考えの方はいらっしゃると思います。
しかし、放置すると血管に常に負担がかかり続け、少しずつ体中の血管が傷つき、そして硬くなってしまう「動脈硬化」を引き起こします。
高血圧の主な原因と見落としがちなサイン
高血圧には、原因が特定できない「本態性高血圧」と、何らかの病気が原因で起こる「二次性高血圧」があります。
日本人の高血圧のほとんどは本態性高血圧で、遺伝的な要因に加えて、日頃の生活習慣が大きく関わっています。
高血圧の主な原因
- 食塩の過剰摂取: 塩分の摂りすぎは、体内の水分量を増やし、血液量を増加させるため、血圧が上昇します。
- 肥満: 体重が増えると、全身に血液を送るために心臓がより多くの仕事をしなければならず、血圧が上がります。
- 運動不足: 運動不足は肥満の原因にもなりますし、血管の弾力性を失わせ、血圧を上昇させます。
- 飲酒・喫煙: 過度な飲酒や喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進し、血圧を上げます。
- ストレス: ストレスを感じると、交感神経が優位になり、一時的に血圧が上昇します。
慢性的なストレスは高血圧につながります。 - 遺伝: 親が高血圧の場合、お子さんも高血圧になりやすい傾向があります。
見落としがちなサイン
高血圧は自覚症状がないことが多いですが、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
- 頭痛(特に後頭部の重い痛み)
- めまい、ふらつき
- 肩こり
- 耳鳴り
- 動悸
- 息切れ
これらの症状は、高血圧が進行しているサインかもしれません。
気になる症状があれば、放置せずに医療機関を受診しましょう。
高血圧が引き起こす合併症
無治療のまま高血圧の状態が続くと、以下のような重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。
- 脳卒中: 脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)することで、手足の麻痺、言語障害、意識障害などを引き起こします。
- 心臓病:
- 狭心症・心筋梗塞: 心臓に血液を送る冠動脈が狭くなったり、詰まったりすることで、胸の痛みや圧迫感、死に至ることもあります。
- 心肥大・心不全: 高い血圧に抵抗して心臓が働き続けることで、心臓の筋肉が厚くなり(心肥大)、やがてポンプ機能が低下し(心不全)、息切れやむくみなどの症状が現れます。
- 腎臓病: 腎臓の血管が傷つき、機能が低下することで、むくみや貧血、倦怠感などの症状が現れ、最終的には人工透析が必要になることもあります。
- 大動脈瘤・大動脈解離: 全身で最も太い血管である大動脈に負担がかかり、コブができたり(大動脈瘤)、血管の壁が裂けたり(大動脈解離)して、突然死につながることもあります。
- 網膜症: 目の奥の血管が傷つき、視力低下や失明につながることもあります。
これらの合併症は、日常生活の質を著しく低下させるだけでなく、命にも関わる非常に恐ろしい病気です。
早期発見・早期治療が何よりも大切です。
日常生活でできること
高血圧の改善には、生活習慣の見直しが非常に重要です。
清澄白河での暮らしの中で、今日からできることをご紹介します。
- 減塩を意識した食生活:
- 加工食品や外食の塩分量に注意しましょう。
- 醤油やソースを減らし、代わりにだしや香辛料、柑橘類などを活用しましょう。
- 新鮮な野菜や果物を積極的に摂りましょう(カリウムが豊富で、塩分排出を助けます)。
- 清澄白河にはこだわりの食材を扱うお店も多いので、新鮮な食材で自炊を楽しんでみるのも良いでしょう。
- 適度な運動習慣:
- ウォーキングや軽いジョギングなど、毎日30分程度の有酸素運動を心がけましょう。
- 清澄白河公園や木場公園など、緑豊かな場所を散歩するのもおすすめです。
- エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やしましょう。
- 適正体重の維持:
- 肥満は高血圧の大きなリスクです。
バランスの取れた食事と運動で、適正体重を維持しましょう。
- 肥満は高血圧の大きなリスクです。
- 節度ある飲酒・禁煙:
- アルコールの摂りすぎは血圧を上げます。
適量を守りましょう。 - 喫煙は血管を傷つけ、高血圧を悪化させます。
禁煙は高血圧改善の第一歩です。
- アルコールの摂りすぎは血圧を上げます。
- 十分な睡眠とストレス解消:
- 質の良い睡眠を7~8時間確保しましょう。
- 趣味やリラックスできる時間を作り、ストレスを上手に発散しましょう。
清澄白河にはカフェや美術館など、落ち着けるスポットもたくさんあります。
これらの生活習慣の改善は、高血圧の予防だけでなく、すでに高血圧と診断された方の治療にも非常に効果的です。
高血圧治療
「高血圧かもしれない」「健診で引っかかったけど、どうしたらいいか分からない」 「生活習慣を改善したいけど、なかなか続かない」
もしあなたがこのように感じているなら、ぜひ一度当院にご相談ください。
皆様の健康を第一に考え、丁寧な診察と分かりやすい説明で、あなたの高血圧治療をサポートいたします。
治療方針
当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルや体の状態に合わせて、最適な高血圧治療をご提案します。
- 精密な検査: 血圧測定だけでなく、血液検査、尿検査、心電図、エコー検査などを行い、高血圧の原因や合併症の有無を詳しく調べます。
- 生活習慣改善のアドバイス: 具体的な生活改善策を一緒に考え、無理なく続けられるようサポートします。
- 薬物療法(必要な場合): 生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、合併症のリスクが高い場合には、患者様の状態に合わせた降圧剤を処方いたします。
薬の効果や副作用についても、丁寧にご説明します。 - 定期的なフォローアップ: 定期的に来院いただき、血圧のコントロール状況や体の状態を確認しながら、きめ細やかな治療を行います。
- 他の専門医との連携: 必要に応じて、心臓専門医や腎臓専門医など、他の専門医療機関との連携もスムーズに行い、より高度な治療が必要な場合も安心です。
当院は、皆様にとって、いつでも気軽に相談できる「かかりつけ医」でありたいと願っています。
不安なこと、疑問に思うことがあれば、どんな小さなことでもお話しください。
高血圧治療 Q&A
高血圧の薬は一度飲み始めたら一生飲み続けなければいけませんか?
高血圧の治療は長期にわたることが多いですが、必ずしも一生飲み続けるとは限りません。
生活習慣の改善によって血圧が安定すれば、医師の判断で減量したり、中止できる場合もあります。
しかし、自己判断で中止するのは非常に危険ですので、必ず医師にご相談ください。
自宅で血圧を測る際に気をつけることはありますか?
自宅での血圧測定は、日々の血圧変動を把握する上で非常に重要です。
- 朝と晩、決まった時間に測定しましょう。
- 測定前は5分程度安静にし、リラックスした状態で行いましょう。
- カフ(腕帯)は心臓の高さに合わせ、正しく巻きましょう。
- 測定値を記録し、受診時に医師に見せましょう。
高血圧でも運動して大丈夫ですか?
はい、適度な運動は高血圧の改善に非常に効果的です。
ただし、重度の高血圧や合併症がある場合は、運動の種類や強度に注意が必要です。
必ず医師に相談し、安全な運動方法についてアドバイスを受けてから始めましょう。
患者さんへ
高血圧は、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
症状がないからといってそのままにせず、定期的な健診と、もし高血圧と診断された場合は早めに医療機関を受診しましょう。
高血圧に伴う合併症の不安から解放され、心穏やかな毎日を送れるよう、全力でサポートいたします。
まずは当院までお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2020
- 厚生労働省 e-ヘルスネット
- 日本循環器学会
