高尿酸血症
高尿酸血症・痛風とは
まず「尿酸」とは、体の細胞が新しく生まれ変わる際（新陳代謝）や、食事に含まれる「プリン体」という成分が分解される際にできる老廃物です。
通常は、腎臓でろ過され、尿と一緒に体外に排泄されます。
高尿酸血症とは
体内で尿酸が「作られすぎる」または「尿からの排泄がうまくいかない」ことで、血液と尿酸の生産・排泄のバランスが崩れ、血液中の尿酸濃度が基準値（7.0mg/dL）を超えてしまった状態を「高尿酸血症」と呼びます。
痛風発作のメカニズム
血液中の尿酸濃度が高くなると、溶けきれなくなった尿酸は、トゲトゲした針のような形をした結晶に姿を変え、関節、特に温度の低い足の親指の付け根などに溜まっていきます。
そして、何かのきっかけでその結晶が関節液の中に剥がれ落ちると、体の免疫システム（白血球）がそれを「敵」と認識して攻撃をします。
その結果、激しい炎症が起こり、耐えがたいほどの赤み、腫れ、熱、そして痛みを生じるのです。
これが、あまりの痛さに「痛風」と名付けられた発作の正体です。
高尿酸血症が招く三大リスク
痛風発作は非常につらいものですが、痛みが治まると治療をやめてしまう方も少なくありません。
しかし、高尿酸血症の本当の怖さは、発作以外にも潜んでいます。
痛風発作
一度経験すると、「二度とあんな思いはしたくない」と誰もが思うほどの激痛です。
そして、尿酸値が高いままだと、発作は繰り返し起こりやすくなります。
腎障害（痛風腎）・尿路結石
尿酸の結晶は、関節だけでなく腎臓にも沈着します。
これが続くと、腎臓のフィルター機能が徐々に低下し（痛風腎）、最悪の場合、人工透析が必要な腎不全に至ることもあります。
また、尿の中で尿酸が固まると「尿路結石」となり、これもまた激痛の原因となります。
動脈硬化の促進
高尿酸血症は、単独で存在するよりも、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった他の生活習慣病を合併していることが非常に多いのが特徴です。
これらが複数重なると、動脈硬化を強力に促進し、心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気のリスクを著しく高めてしまいます。
尿酸値が高いと指摘されたら、まずはご相談ください。
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尿酸値は高くなる主な原因
尿酸値が高くなる原因は、日々の生活習慣に隠されていることがほとんどです。
食生活
レバー類、白子、あん肝、エビ、イワシやアジの干物など、「プリン体」を多く含む食品の食べ過ぎ。
アルコール
特にビールはプリン体を多く含みますが、アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があるため、焼酎やウイスキーなら大丈夫、というわけではありません。
「お酒の種類を問わず、飲み過ぎ」がリスクとなります。
肥満
特に内臓脂肪は、尿酸の産生を促進し、排泄を妨げます。
その他
激しい運動のしすぎ、ストレス、遺伝的な体質なども関係します。
治療法
治療の目的は、単に痛みを抑えることではありません。
「痛風発作を二度と起こさないこと」そして「腎臓や血管へのダメージを防ぎ、合併症を予防すること」が真のゴールです。
まずは生活習慣の改善から
食事療法
プリン体の多い食品は少し控えめに。
それ以上に、全体的なカロリーを抑え、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
野菜、海藻、きのこ類は尿をアルカリ性に傾け、尿酸を排出しやすくする助けになります。
水分摂取
1日に2リットルを目安に、水やお茶（甘くないもの）をしっかり飲み、尿量を増やして尿酸の排泄を促しましょう。
これは非常に効果的な方法です。
飲酒習慣の見直し
まずは休肝日を設けることから。
飲む場合は、適量を守ることが大切です。
適度な運動
肥満を解消するため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を習慣にしましょう。
ただし、激しい運動は逆効果になることもあるので注意が必要です。
尿酸値を下げる「薬物療法」
生活習慣の改善だけでは尿酸値が十分に下がらない場合（目標は6.0mg/dL以下）や、すでに痛風発作を起こしたことがある方には、お薬による治療を開始します。
お薬には、体内で尿酸が作られるのを抑えるタイプと、尿からの排泄を促すタイプがあり、患者様の体の状態に合わせて最適なものを選択します。
ここで非常に重要なのが、痛みがなくても毎日お薬を飲み続けることです。
自己判断で中断すると、血中の尿酸値が再び上昇し、発作の再発や合併症のリスクが高まってしまいます。
患者さんへ
高尿酸血症は、症状がない期間が長いため、つい放置されがちな病気です。
しかし、健康診断で指摘された尿酸値の異常は、将来の耐えがたい激痛や、腎臓・血管の深刻な病気を避けるための重要な「警告」です。
当院は、患者さんの生活習慣に寄り添いながら、食事や運動のアドバイスから専門的な薬物療法、そして合併しやすい他の生活習慣病の管理まで、あなたの「健康管理のパートナー」として、トータルでサポートいたします。
