頻尿
頻尿とは
医学的に「1日に何回以上が頻尿」という明確な定義はありません。
しかし、一般的には、起きている間にトイレに行く回数が「日中に8回以上」、就寝後にトイレのために起きる回数が「夜間に1回以上(夜間頻尿)」の場合を、一つの目安とします。
ただし、これはあくまで目安です。
水分を多く摂れば回数は増えますし、個人差も大きいため、回数そのものよりも「ご自身が、トイレの回数が多いことで日常生活に不便や苦痛を感じているかどうか」が、治療を考える上で重要な判断基準となります。
頻尿の様々な原因
「トイレが近い」という一つの症状の裏には、実に様々な原因が隠されています。
水分の過剰摂取
当然ですが、水やお茶などをたくさん飲めば、尿の量は増え、トイレの回数も増えます。
特に、ビールなどのアルコールや、コーヒー・紅茶・緑茶などのカフェインには利尿作用があるため、頻尿の原因となります。
加齢による変化
年齢とともに、夜間の尿量を減らすホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が低下したり、尿を溜める膀胱の弾力性が失われたりして、一度に溜められる尿量が少なくなり、頻尿(特に夜間頻尿)になりやすくなります。
膀胱・尿道の病気
過活動膀胱(OAB)
膀胱が過敏になり、尿が十分に溜まっていなくても、急に我慢できないほどの強い尿意(尿意切迫感)を感じてしまう病気です。
頻尿の非常に多い原因の一つです。
前立腺肥大症(男性特有)
加齢とともに大きくなった前立腺が膀胱を刺激したり、尿道を圧迫して尿が残りやすくなったり(残尿)することで、頻尿になります。
膀胱炎
細菌感染による膀胱の炎症で、頻尿の他に排尿時の痛みや残尿感を伴います。
全身性の病気のサイン
糖尿病
血糖値が高いと、糖を尿として排出しようとするため尿量が増え、頻尿になります。
口が渇く、という症状も伴います。
高血圧
治療薬である降圧薬の中に、利尿薬が含まれている場合があります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が止まることで、夜間の尿量を増やすホルモンが分泌され、夜間頻尿の隠れた原因となっていることがあります。
トイレの悩み、我慢せずにご相談ください。
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当院の頻尿診療
当院は、このように多岐にわたる頻尿の原因を、総合的な視点から探る「最初の相談窓口」です。
問診と「排尿日誌」の活用
いつから、どのくらい、どんな時にトイレが近いか、1日の飲水量、他の症状(痛み、尿漏れなど)、持病や服用中の薬などを詳しくお伺いします。
また、ご自宅で2~3日間、排尿の時間や量、飲んだものを記録していただく「排尿日誌」は、原因を特定するための非常に重要な情報源となります。
検査で原因を探ります
尿検査
膀胱炎や、糖尿病のサイン(尿糖)などがないかを確認します。
腹部超音波(エコー)検査
お腹の上からゼリーを塗るだけの痛みない検査で、(男性の場合)前立腺の大きさや、排尿後に膀胱に尿がきちんと出し切れているか(残尿量)を測定します。
血液検査
腎機能や、糖尿病の有無、男性の場合は前立腺がんの可能性(PSA検査)など、背景にある病気がないかを調べます。
原因に応じた治療
診断に基づいて、最適な治療を行います。
過活動膀胱であれば膀胱の過敏さを抑えるお薬、前立腺肥大症であれば尿の通りを良くするお薬、糖尿病が原因であれば血糖コントロールの見直しなど、根本原因にアプローチします。
日常生活でできる頻尿対策
病院での治療と合わせて、ご自身でできる工夫も症状の改善に繋がります。
水分摂取の工夫
1日の水分量を極端に減らす必要はありませんが、こまめに摂るようにしましょう。
就寝の2~3時間前からは、水分摂取を控えるのが夜間頻尿対策のポイントです。
カフェイン、アルコールを控える
特に夕方以降は、これらの利尿作用のある飲み物を避けると良いでしょう。
骨盤底筋体操
尿道を締める筋肉を鍛えることで、尿意切迫感や尿漏れの改善が期待できます。
適度な運動
ウォーキングなどの適度な運動は、血行を良くし、体の様々な機能を整える助けになります。
患者さんへ
頻尿の多くは生活習慣の改善や薬物療法によって改善することができます。
お悩みの症状があれば、一度ご確認ください。
