脳梗塞
脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、その先の脳細胞に酸素や栄養が届かなくなることで、脳細胞が死んでしまう(壊死する)病気です。
一度死んでしまった脳細胞は、元に戻ることはありません。
そして、その脳細胞が司っていた機能、例えば手足を動かす、言葉を話す、物事を記憶するといった働きが失われ、麻痺やしびれ、言語障害といった後遺症が残るため、
命を救う合言葉「FAST(ファスト)」
もし、あなたやあなたの大切な人に、以下のような症状が一つでも現れたら、それは脳梗塞のサインかもしれません。
一刻も早い対応が、その後の人生を大きく左右します。
この合言葉「FAST」をぜひ覚えてください。
F (Face) - 顔の麻痺
「イーッ」と笑った時に、顔の片側がゆがんでいませんか?口の片端から水がこぼれたりしませんか?
A (Arm) - 腕の麻痺
両腕を水平に前に上げ、目を閉じてもらいます。
片方の腕だけが、力なく下に落ちてきませんか?
S (Speech) - 言葉の障害
「今日は良い天気ですね」のような、短い簡単な言葉が、ろれつが回らずうまく言えなかったり、言葉そのものが出てこなかったりしませんか?
T (Time) - 発症時刻
上記の症状が一つでも見られたら、それが始まった時刻を確認し、ためらわずに、すぐに救急車を呼んでください。
絶対に見逃さないで!脳梗塞の危険な「前触れ発作(TIA)」
時に、「FAST」のような症状が、数分から長くても数十分で完全に消えてしまうことがあります。
これを「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼びます。
「治ったから大丈夫」と放置してしまうのが最も危険です。
TIAは、いわば「嵐の前の静けさ」。
本格的な脳梗塞が起こる寸前の、極めて危険な前兆です。
TIAが起きた場合、症状が消えても必ずすぐに医療機関を受診してください。
脳梗塞の引き金を引く「5つのサイレントキラー」
脳梗塞という結果には、必ず"原因"があります。
その最大の原因が、自覚症状なく進行する生活習慣病です。
高血圧
最大の危険因子です。
常に高い圧力がかかることで、血管は傷つき、もろくなり、動脈硬化が進行します。
糖尿病
高い血糖値が、血管の内壁をボロボロにし、動脈硬化を加速させます。
脂質異常症(高コレステロール血症)
悪玉コレステロールが血管に"こぶ"を作り、血管を狭くします。
心房細動
心臓にできた血の塊(血栓)が脳に飛んでいき、太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」の最大の原因です。
喫煙習慣
喫煙自体が、血管を収縮させ、動脈硬化を強力に促進します。
これらの「サイレントキラー」を、日頃からかかりつけ医のもとでしっかりとコントロールすることが、何よりの脳梗塞予防になるのです。
脳梗塞の予防・再発予防は、当院へお気軽にご相談ください。
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再発防止のために。
退院後の再発予防と当院の役割
脳梗塞の急性期治療は、専門の高度医療機関で行われます。
しかし、退院してからが、二度目の発作を防ぐための、本当の戦いの始まりです。
そして、その戦いを支えるのが、地域に根差した「かかりつけ医」の役割です。
私たち清澄白河ファミリークリニックは、脳梗塞後の患者様に対し、以下のようなサポートを提供します。
お薬の継続的な管理
退院時に処方される血液をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)や、生活習慣病の薬。
これらは、脳梗塞の再発を防ぐための「命綱」です。
なぜ飲み続けなければならないのかを丁寧にご説明し、自己判断で中断することのないよう、しっかりと管理します。
危険因子の徹底管理
退院後は、血圧・血糖・コレステロールの目標値が、発症前よりさらに厳しく設定されます。
定期的な検査でこれらの数値をチェックし、お薬の量を微調整しながら、最適な状態を維持することを目指します。
生活全般の「相談相手」
退院後の食事や運動のこと、車の運転再開の不安、社会復帰への焦りなど、大学病院ではなかなか聞けないような、日常生活での細かな疑問や悩みに寄り添い、アドバイスします。
専門機関との「橋渡し役」
治療を受けた専門病院や、リハビリテーション施設、地域の介護サービス(ケアマネジャーなど)と密に連携し、あなたの生活を医療・介護の両面からトータルでサポートします。
万が一、再発の兆候が見られた場合には、迅速に専門医療機関へお繋ぎします。
患者さんへ
脳梗塞は、発症してしまうと、ご自身とご家族の人生を大きく変えかねない病気です。
しかし、その引き金の多くは、高血圧や糖尿病といった、日々の生活習慣病の管理によってコントロールできるのです。
そして、一度発症してしまった後でも、専門病院と「かかりつけ医」とが力を合わせ、適切な再発予防を根気よく続けることで、二度目の発作のリスクを大幅に減らし、安心して生活を送ることは十分に可能です。
