発熱
発熱のメカニズム
まず知っていただきたいのは、発熱は単なる「悪いもの」ではないということです。
発熱は、ウイルスや細菌といった病原体が体内に侵入した際に、私たちの体に備わっている免疫システムが、体を守るために活発に戦っている証拠であり、重要な「防御反応」なのです。
体温を上げることで、免疫細胞の働きがより活発になり、一方でウイルスや細菌は増殖しにくくなります。
つまり、発熱は、体が病気を治そうとしている過程そのものを表しています。
大切なのは、発熱そのものよりも、全身の状態をよく観察することです。
発熱した時に、まず家庭でできること（セルフケア）
まずはご家庭でできる適切な対処を行いましょう。
水分補給が最も大切
発熱時は、汗や速い呼吸によって、思った以上に体から水分が失われます。
脱水症状を防ぐことが何よりも重要です。
経口補水液、麦茶、イオン飲料、薄めたリンゴジュース、野菜スープなどを、少量ずつ、こまめに与えるようにしてください。
安静と休養
体をゆっくり休ませることで、免疫システムが病原体と戦うことにエネルギーを集中できます。
部屋を適温に保ち、静かな環境で過ごせるようにしましょう。
体を冷やすタイミングと場所
寒気・震えがある時（熱が上がりきる前）
この時は、体が熱を作ろうとしているサインです。
無理に冷やさず、布団などで温かくしてあげましょう。
熱が上がりきって暑がっている時
衣服を一枚減らしたり、布団を薄くしたりして、熱がこもらないようにします。
嫌がらなければ、首の付け根、脇の下、足の付け根など、太い血管が通る場所を、ぬるま湯で絞ったタオルや冷却シートなどで冷やすと、心地よく、熱の発散を助けます。
食事
食欲がなければ、無理に食べる必要はありません。
水分補給を優先しましょう。
食べたがるようであれば、おかゆ、うどん、ゼリー、アイスクリーム、すりおろしリンゴなど、消化が良く、口当たりの良いものがおすすめです。
解熱剤との上手な付き合い方｜使うべきタイミングとは？
解熱剤は、病気そのものを治す薬ではなく、あくまで一時的に熱を下げて、つらい症状を和らげるための「サポーター」です。
熱の高さだけで判断するのではなく、「高熱でぐったりして水分も摂れない」「つらくて眠れず、体力の消耗が激しい」といった場合に、体を少し楽にしてあげる目的で使うのが上手な付き合い方です。
特に小さなお子様に使う場合は、薬の種類や量に注意が必要です。
かかりつけ医にご相談ください。
重要 以下の症状があればすぐに受診をお勧めします
以下のような症状が見られる場合は、ためらわずにご相談ください。
お子様の場合、特に注意が必要なサイン
- 生後3ヶ月未満の赤ちゃんの38℃以上の発熱
- 呼びかけへの反応が鈍い、ぐったりして笑顔がない
- 水分を受け付けず、半日以上おしっこが出ていない
- けいれんを起こした、または意識がおかしい
- 呼吸が速く、ゼーゼー、ヒューヒューしている、肩で息をするなど苦しそう
大人の場合、注意が必要なサイン
- 意識がはっきりしない、会話のつじつまが合わない
- これまでに経験したことのないような激しい頭痛や、繰り返す嘔吐
- 息苦しさや、胸の痛みがある
- 40℃以上の高熱が続き、解熱剤もあまり効かない
- 背中や腰に強い痛みがある（腎盂腎炎の可能性があります）
- 水分が全く摂れず、脱水症状が疑われる
WEBでのご予約はこちら
※発熱症状のある方は、院内での感染対策のため、ご来院前にお電話にてご一報いただけますよう、ご協力をお願いいたします。
当院の発熱外来
当院では、急な発熱に悩む患者様に対し、感染対策に配慮しながら、迅速な診断と適切な治療の提供に努めています。
問診と診察
症状の経過や周囲の流行状況などを詳しくお伺いし、原因を丁寧に探ります。
迅速検査による原因の特定
必要に応じて、その場で結果が分かる各種迅速抗原検査（新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、A群溶血性レンサ球菌（溶連菌）など）を行います。
原因に応じた適切な治療
ウイルス性の風邪であれば症状を和らげるお薬を、細菌感染が原因であれば抗生物質を処方するなど、的確な治療を行います。
重大な病気の見極め
診察や検査を通じて、肺炎や腎盂腎炎、髄膜炎といった、入院や専門的な治療が必要な病気が隠れていないかを慎重に鑑別します。
万が一、そうした病気が疑われる場合は、速やかに地域の基幹病院へご紹介する体制を整えています。
患者さんへ
発熱は、ご本人にとっても、ご家族にとっても、非常につらく、不安なものです。
しかし、正しい知識を持って冷静に対処することが、スムーズな回復への第一歩です。
当院は、急な発熱に悩む地域の皆様の「最初にかかるべき相談窓口」として、皆様の健康をサポートします。
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