感染性胃腸炎
感染性胃腸炎とは
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが胃腸に感染することで、嘔吐、下痢、腹痛、発熱といった症状を引き起こす病気の総称です。
原因によって、大きく2つのタイプに分けられます。
ウイルス性胃腸炎
原因
ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど
季節
主に秋から冬にかけて流行
特徴
感染力が非常に強く、家庭内や学校、職場で集団発生しやすいのが特徴です。
激しい嘔吐や水のような下痢が主な症状です。
細菌性胃腸炎
原因
カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌(O-157)など
季節
高温多湿な夏場に多い
特徴
いわゆる「食中毒」として起こることが多く、加熱が不十分な肉や卵などが原因となり得ます。
高熱や血便を伴うこともあります。
症状を和らげる応急処置
突然の発症で、まず何をすべきか。
ご家庭でできる最も重要な対処法は以下の3つです。
最優先は「脱水対策」正しい水分補給のコツ
嘔吐や下痢で最も怖いのは、体から水分と電解質が失われて起こる「脱水症状」です。
これを防ぐことが、回復への第一歩です。
飲むべきもの
最もおすすめなのは、水分と電解質を効率よく吸収できる経口補水液(OS-1など)です。
薬局やドラッグストアで購入できます。
もし手元になければ、麦茶や湯冷まし、スポーツドリンク(少し薄めると良い)でも構いません。
避けるべきもの
オレンジジュースなどの柑橘系の飲み物や、牛乳・乳製品は、胃腸を刺激して症状を悪化させることがあるので避けましょう。
適切な飲み方
ゴクゴク飲むと吐き気を誘発しやすいため、少量をこまめ(コップ1/3程度)を一定の間隔(15分から30分おきに)飲み続けるのがポイントです。
食事について
症状が激しい時は、胃腸をしっかり休ませることが大切です。
無理に食べる必要は全くありません。
食欲がない時は、水分補給に専念しましょう。
症状が少し落ち着き、食欲が出てきたら、
- おかゆ(重湯や五分粥から)
- よく煮込んでクタクタになったうどん
- すりおろしたリンゴ、バナナ
といった、消化に良く、胃腸に負担をかけないものから、ごく少量ずつ試していきましょう。
市販薬、飲んでいい?「下痢止め」には要注意!
下痢は、体内のウイルスや細菌を外に排出しようとする体の防御反応です。
自己判断で強力な下痢止め薬を使うと、これらの病原体を腸内に留めてしまい、かえって回復を遅らせる可能性があります。
整腸剤(ビオフェルミンなど)は比較的安全ですが、基本的には自己判断での服薬は避け、医師に相談しましょう。
家族や職場に広げない二次感染を防ぐ徹底対策
特にウイルス性胃腸炎は、非常に感染力が強いのが特徴です。
ご自身がつらいだけでなく、大切な家族や周りの人にうつしてしまわないよう、感染対策を徹底しましょう。
基本の「手洗い」
トイレの後、嘔吐物などを処理した後、食事の前には、石鹸と流水で30秒以上かけて指の間や手首まで丁寧に洗いましょう。
嘔吐物・便の正しい処理(最重要!)
使い捨てのマスクと手袋を必ず着用します。
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窓を開けて十分に換気します。
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ペーパータオルなどで、外側から内側に向けて静かに拭き取ります。
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拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤のハイターなどを薄めたもの)を染み込ませた布やペーパータオルで、汚染場所を覆うように広く拭き、10分ほど置いてから水拭きします。
↓
使用した手袋やペーパータオルは、ビニール袋に入れて口をしっかり縛って捨てます。
タオルの共有は厳禁
手拭きタオルやバスタオルは、必ず個人で分けましょう。
ペーパータオルの使用が理想的です。
すぐにクリニックを受診すべき危険なサイン
ほとんどの感染性胃腸炎は数日で回復に向かいますが、以下のような症状が見られる場合は、重症化や他の病気の可能性も考えられます。
我慢せず、速やかに医療機関を受診してください。
- 水分を全く摂ることができない、飲んでもすぐに吐いてしまう
- ぐったりして意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が薄い
- おしっこの量が極端に少ない、または半日以上出ていない
- 唇や皮膚がカサカサに乾いている
- 38.5℃以上の高熱が続いている
- 便に血が混じっている(血便)
- これまでに経験したことのないような、我慢できないほどの強い腹痛
特に、体力の少ない乳幼児やご高齢の方、持病をお持ちの方は脱水症状が急速に進行しやすいため、様子を見すぎず、早めに当院にご相談ください。
つらい症状でお困りの際は、我慢せずご相談ください。
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患者さんへ
当院では、つらい症状に苦しむ患者様が一日も早く回復できるよう、的確な診断と適切な治療を行います。
的確な診断と処方
症状や周囲の流行状況から原因を判断し、吐き気止め、整腸剤、解熱剤など、あなたの症状を和らげるのに最適なお薬を処方します。
迅速検査
必要に応じて、ノロウイルスやロタウイルスなどの原因ウイルスを特定する迅速検査を行うことも可能です。
つらい脱水に「点滴」
水分補給が追いつかない、ぐったりしてつらい、という場合には点滴(補液)治療を行います。
水分と電解質を直接血管から補給することで、驚くほど速やかに症状が楽になります。
正確に復帰の目安をアドバイス
仕事や学校、保育園などにいつから復帰できるか、周囲への感染リスクなども考慮し、専門家の視点から具体的にアドバイスします。
登園・登校許可証などの書類作成にも対応いたします。
