心筋梗塞
心筋梗塞とは
心筋梗塞とは、心臓の筋肉に栄養と酸素を送る重要な血管「冠動脈」が、動脈硬化によってできたプラーク(血管内のこぶ)の破綻をきっかけに、血栓(血の塊)で完全に詰まってしまう病気です。
血流がストップした先の心臓の筋肉は、時間とともに壊死(えし)してしまい、二度と元には戻りません。
心臓のポンプ機能が大きく低下したり、命に関わる危険な不整脈が出現したりするため、一刻も早い治療が必要となります。
心筋梗塞のサインと「前兆」
この知識は、ご本人だけでなく、ご家族もぜひ覚えておいてください。
ためらわずに救急車を呼ぶべき症状
- 30分以上続く、締め付けられるような、圧迫されるような激しい胸の痛み
- 冷や汗、吐き気、呼吸困難を伴う
- 痛みが、左肩、腕、背中、あご、歯などに広がる(放散痛)
これらの症状は、心筋梗塞の典型的なサインです。
一瞬でもためらわず、すぐに救急車を呼んでください。
見過ごしてはいけない「前兆」
心筋梗塞を発症した人の約半数には、その数日前から数週間前に、「狭心症」というかたちで前兆が現れると言われています。
「階段を上る」「急いで歩く」など、体を動かした時にだけ数分間、胸が痛んだり苦しくなったりし、休むと治まる。
これが狭心症のサインです。
「休めば治まるから」と見過ごさず、この警告の段階で受診することが、心筋梗塞を未然に防げます。
再発予防は「三本の矢」で。
退院後の大切な取り組み
心筋梗塞の再発率は、決して低くありません。
退院後の生活では、以下の「三本の矢」を徹底することが絶対的に重要です。
薬物療法(自己判断での中断は、命に関わります)
退院後の薬は、
- 血液をサラサラにし、新たな血栓ができるのを防ぐ薬
- 動脈硬化の進行を抑える薬
- 心臓の負担を軽くし、心臓を守る薬
- 血圧やコレステロール、血糖をコントロールする薬
など、それぞれがあなたの心臓を守るための重要な役割を担っています。
「調子が良いから」「薬が多いから」といった理由で自己判断で中断することは、再発のリスクを著しく高める、極めて危険な行為です。
必ず医師の指示通りに服用を続けてください。
生活習慣の徹底的な見直し
食事
塩分を控え(高血圧予防)、動物性脂肪やコレステロールの多い食品を避け(脂質異常症改善)、野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。
運動
医師の許可のもと、ウォーキングなどの適度な有酸素運動を継続することは、心肺機能の維持・向上に繋がります(心臓リハビリテーション)。
禁煙
喫煙は、再発予防において「百害あって一利なし」です。
血管を傷つけ、動脈硬化を悪化させる最大の危険因子であり、絶対的な禁煙が求められます。
危険因子の厳格な管理
心筋梗塞の根本原因である動脈硬化。
その進行を促す「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」の管理が、以前にも増して重要になります。
定期的な通院と服薬で、これらの数値を厳格にコントロールし続けることが、再発予防の土台となります。
心筋梗塞後の生活や再発予防にご不安な方は、ぜひ当院にご相談ください。
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退院後の生活に寄り添う「かかりつけ医」の役割
急性期の命を救う治療は専門の高度医療機関で行いますが、その後の長い人生を安心して過ごすためには、身近な地域にある「かかりつけ医」の存在が不可欠です。
当院は、心筋梗塞後の患者様にとって、以下のような役割を担います。
お薬の継続的な管理
専門病院の治療方針に基づき、お薬を継続的に処方。
飲み忘れや副作用がないか、きめ細かくチェックします。
定期的な検査で状態を把握
定期的に心電図、心エコー、血液検査などを行い、心臓の状態や危険因子がきちんとコントロールできているかを確認します。
生活習慣病のトータル管理
心臓だけでなく、その原因となる高血圧・脂質異常症・糖尿病をまとめて一元的に管理し、最適な治療を提供します。
禁煙の強力なサポーター
どうしてもタバコがやめられない方には、保険診療による「禁煙外来」で、あなたの挑戦を全力でサポートします。
日常の不安に応える「相談相手」
「このくらいの運動は大丈夫?」「食事で気をつけることは?」など、大学病院では聞きにくいような些細な疑問や不安も、いつでも気軽に相談できる存在です。
異常の早期発見と「橋渡し役」
万が一、再発の兆候や体調の変化が見られた際に、いち早くそれを察知し、治療を受けた専門病院へスムーズにお繋ぎする「見張り役」としての務めを果たします。
患者さんへ
心筋梗塞は、命に関わる恐ろしい病気です。
しかし、適切な治療を受け、その後の人生をご自身と医師とでしっかりと管理していけば、再発のリスクを大きく減らし、穏やかな毎日を送ることは十分に可能です。
当院では専門病院と連携を組み、一つのチームとして治療を継続します。
心筋梗塞後の生活にご不安な方、ご家族のことが心配な方、そして発症そのものを防ぎたい方はまず、当院にご相談ください。
