大腸ポリープ
大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸粘膜にできる隆起した病変の総称です。
ポリープにはいくつかの種類があり、大きく分けると「がんになる可能性があるもの」と「その心配がほとんどないもの」があります。
腫瘍性ポリープ(腺腫)
この「腺腫」は、今は良性でも、放置すると数年という長い年月をかけて徐々に大きくなり、やがてその一部ががん化する可能性があります。
ほとんどの大腸がんは、この腺腫から発生すると考えられています。
非腫瘍性ポリープ
過形成性ポリープなどがこれにあたり、基本的にはがん化の心配はないとされています。
大腸カメラでポリープを発見した際、ある程度は見た目で種類の推測ができますが、100%ではありません。
そのため、がん化のリスクがある腺腫を見つけた場合は、切除して組織を詳しく調べることが、最も確実で安全な方法です。
大腸ポリープによる症状
大腸ポリープはほとんどの場合、自覚症状は全くありません。
ポリープが5mm、1cmと大きくなってくると、硬い便が通過する際に表面がこすれて、目に見えないくらいのわずかな出血を起こすことがあります。
これが、健康診断で行われる「便潜血検査」で陽性となる主な原因です。
まれに、さらに大きくなると、肉眼でもわかる血便として現れることもあります。
つまり、ポリープは症状を出さない「静かなる病変」です。
だからこそ症状がないうちに、検査で見つけ出すことが重要です。
ポリープを切除する重要性
ポリープ切除の最大の目的、それは「大腸がんの予防」です。
先述の通り、大腸がんの多くは、良性の「腺腫」というポリープががん化することで発生します。
ということは、がんになる前の「ポリープ」の段階で、その"芽"を摘み取ってしまえば、そのポリープが将来がんになる可能性はなくなります。
これこそが、大腸ポリープの内視鏡切除が「最大の大腸がん予防」と言われる理由です。
大腸ポリープの切除について、ご不安な点があればお気軽にご相談ください。
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日帰りポリープ切除(内視鏡治療)
当院では、大腸カメラ検査の際に切除可能なポリープを発見した場合、患者様にご説明・ご同意いただいた上で、その場で切除まで行う日帰り治療に対応しています。
「切除」と聞くと、「痛そう」「大変そう」というイメージがあるかもしれませんが、ご安心ください。
大腸の粘膜には、痛みを感じる神経(痛覚)がないため、ポリープを切除する際に痛みは全く感じません。
切除は、内視鏡の先端から出す「スネア」という金属の輪をポリープにかけて切る方法(ポリペクトミー)で行います。
また、当院では鎮静剤(セデーション)を使用し、ウトウトとリラックスした状態で検査・治療を受けていただける「苦痛の少ない内視鏡」を導入していますので、安心して臨んでいただけます。
ポリープ切除後の注意点|食事と生活で気をつけること
切除後は、治療した部分が一時的に傷(人工的な潰瘍)になっています。
非常にまれですが、後から出血したり、腸に穴が開いたりする(穿孔)といった偶発症を防ぐため、切除後しばらくは日常生活にいくつかの制限をお願いしています。
食事について
切除当日は、おかゆやうどん、スープなど、消化が良く胃腸に負担をかけない食事にしてください。
その後1週間程度は、アルコール飲料、唐辛子などの香辛料、ラーメンや天ぷらといった脂肪分の多い食事は避けてください。
生活について
腹圧がかかるような激しい運動(ゴルフ、テニス、ジョギングなど)や、長時間の入浴(シャワーは当日から可)、飛行機での移動や長距離の旅行などは、1週間程度は控えてください。
これらの制限期間は、切除したポリープの大きさや数、切除方法によって異なりますので、必ず担当医の指示に従ってください。
重要 定期的検査
「ポリープを切除したから、もう安心だ」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
ポリープができやすい「腸の体質」そのものは、治療で変わるわけではありません。
そのため、一度ポリープを切除した方は、将来また別の場所に新しいポリープができる可能性が、ポリープがなかった人と比べて高いことが分かっています。
そのため、大腸がん治療のガイドラインでは、ポリープを切除した後も、1~3年後を目安に定期的な大腸カメラ検査を受け、新たなポリープができていないか、見逃しがないかをチェックすることが強く推奨されています。
当院では、ポリープの切除だけで終わりにするのではなく、その後の定期的なサーベイランス(経過観察)まで、トータルケアを行っています。
患者さんへ
大腸ポリープは無治療の場合、将来がんになる可能性があります。
しかし、見方を変えれば大腸カメラで早期に発見し、切除することで、未来への安心材料に変わります。
「便潜血検査で陽性を指摘された」
「以前にポリープがあると言われたことがある」
「40歳を過ぎて、一度も大腸の精密検査を受けたことがない」
これらの事に当てはまる場合には、一度御相談ください。
