大腸がん
大腸がんとは
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)粘膜に発生する悪性腫瘍です。
その多くは、最初からがんとして発生するわけではありません。
多くの場合、まずは良性の「ポリープ(腺腫)」ができ、それが数年から10年といった長い年月をかけて遺伝子変異を繰り返しながら徐々に大きくなり、その一部ががん化する、というステップを踏んで発生します。
ここでの重要なポイントは、小さなポリープや、がんになりたてのごく初期の段階では、自覚症状がほとんどないということです。
大腸がんは、まさに「サイレントな病」。
だからこそ、症状がない段階でいかにして発見するかが重要になります。
気づいてほしい、大腸がんの危険サイン
がんが進行してくると、以下のような症状が現れることがあります。
これらのサインは、大腸がん以外の病気でも起こりえますが、決して見過ごしてはいけません。
血便、下血
便に血が混じる、便の表面に血が付着する、便器が真っ赤になる、黒っぽい便が出るなど。
痔と自己判断するのは危険です。
便通の変化
これまで快便だったのに急に便秘がちになった、逆に下痢が続く、便秘と下痢を繰り返すようになった。
便が細くなる
がんによって腸の内側が狭くなることで、鉛筆のように細い便が出ることがあります。
残便感
排便後も、まだ便が残っているようなスッキリしない感じが続く。
お腹の張り、腹痛
しつこい腹痛や、お腹が張る感じがある。
原因不明の貧血や体重減少
がんからの持続的な出血による貧血や、体の消耗による体重減少。
これらの症状がある場合はもちろんですが、大腸がんの治療で最も大切なのは、症状が出る前に発見することです。
早期発見・早期治療がもたらす「大きな役割」
なぜ、これほどまでに早期発見が重要なのでしょうか。
それは、見つかったときのステージ(進行度)によって、その後の経過が大きく変わるからです。
国立がん研究センターのデータによると、大腸がんの5年相対生存率は、がんが粘膜内にとどまるステージ0や、大腸の壁の中にとどまるステージⅠの段階で発見されれば、90%を超えます。
さらに、治療法も大きく異なります。
ステージ0や一部のステージⅠのがんであれば、お腹を切るような大きな手術は必要なく、体への負担が非常に少ない大腸カメラ(内視鏡検査)による日帰り治療で、がんやポリープを完全に切除することが可能です。
早く見つければ、体への負担も、時間的・経済的な負担も少なく、そして何より、これまで通りの生活にすぐに戻ることが可能です。
大腸がんやポリープについて、ご不安な方はお気軽にご相談ください。
WEBでのご予約はこちら
がんを見つけ、そして予防もできる「大腸カメラ検査」
大腸がんの早期発見において、最も確実で信頼性の高い検査が「大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)」です。
この検査には、3つの非常に重要な役割があります。
発見する(診断)
肛門から細いスコープを挿入し、大腸の粘膜を隅々まで直接、ハイビジョン画質で観察します。
これにより、ミリ単位の小さながんやポリープも見逃さずに発見することができます。
確定する(生検)
検査中に疑わしい部分が見つかった場合、その場で組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる「生検」を行うことができます。
これにより、良性か悪性かの確定診断が可能です。
切除する(治療・予防)
これが大腸カメラの最大のメリットです。
検査中にがん化する可能性のあるポリープを発見した場合、その場で切除することができます。
これは、ポリープという「がんの芽」を摘み取ることであり、将来の大腸がんを「予防」することに直結する、非常に有効な手段です。
「大腸カメラは痛い、つらい」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、当院では鎮静剤(セデーション)を使用し、ウトウトと眠っている間に楽に検査を受けていただける「苦痛の少ない内視鏡検査」を導入しています。
どうぞ安心してご相談ください。
当院の特徴|がんの発見から治療後の見守りまで
当院は、地域のかかりつけ医として、大腸がんの予防から早期発見、そして治療後のフォローアップまで、一貫して皆様の健康をサポートします。
大腸がん検診の推奨
40歳を過ぎたら、まずは毎年、便潜血検査を受けることをお勧めします。
精度の高い大腸カメラ検査
便潜血検査で陽性だった方や、症状が気になる方に、専門医が丁寧な大腸カメラ検査を行います。
日帰りでのポリープ切除にも対応しています。
治療後のサーベイランス
大腸がんの手術や内視鏡治療を受けられた後の、定期的な検査(大腸カメラや血液検査)も、ガイドラインに沿って責任をもって行い、再発の早期発見に努めます。
専門医療機関との連携
万が一、進行がんが見つかったり、入院治療が必要になったりした場合は、専門の医療機関へスムーズにご紹介いたします。
大腸がんを遠ざけるために、今日からできるセルフケア
大腸がんのリスクは、日々の生活習慣を見直すことでも減らすことができます。
食生活
野菜や果物、きのこ類など、食物繊維を豊富に摂りましょう。
一方で、赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)の過剰な摂取はリスクを高めることが知られています。
適度な運動
日常的に体を動かす習慣は、腸の働きを活発にし、リスクを下げます。
禁煙・節酒
喫煙や過度の飲酒は、大腸がんだけでなく、多くの病気のリスクとなります。
患者さんへ
大腸がんは、症状がない早期に見つければ、決して怖い病気ではありません。
がんになる前のポリープの段階で切除できれば、治癒することができます。
そのためには予防することが大切です。
「便潜血検査で陽性だったが、怖くて精密検査を受けていない」
「最近、便の調子がおかしいけれど、そのうち治るだろうと思っている」
「40歳を過ぎて、一度も大腸の検査を受けたことがない」
もし、何か気になることがあれば当院に御相談ください。
