嘔吐(小児科症状)
お子様が突然吐いてしまうと、保護者の方はとても驚き、心配されることでしょう。とくに言葉で症状を伝えられない年齢のお子様の場合、「原因がわからず不安…」「病院に行くべきか迷う…」という方も多くいらっしゃいます。
私たち清澄白河ファミリークリニックでは、毎週木曜日に小児科専門医が在籍し、嘔吐などの症状に対し、丁寧な診察ときめ細やかな対応を心がけています。原因がはっきりしない嘔吐にも、幅広い観点から診断し、必要な処置・検査・治療へとつなげます。
嘔吐の原因
お子様の嘔吐にはさまざまな原因があり、その多くは一時的なものですが、まれに重大な病気が隠れていることもあります。
よくある原因には以下のようなものがあります。
-
ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスなど)
-
食べすぎ・飲みすぎ・早食い
-
高熱による胃腸機能の低下
-
咳き込みによる嘔吐(咳嗽性嘔吐)
-
頭をぶつけた後の嘔吐
-
腸のトラブル(腸重積・虫垂炎など)
-
心理的要因(登園・登校前など)
嘔吐の背景を的確にとらえるには、年齢や吐き方、吐いた後の様子、他の症状の有無などが重要です。診察時に詳しくお伺いし、必要な検査につなげます。
考えられる疾患
嘔吐が主症状として現れる、または初期に伴いやすい疾患の一部をご紹介します。いずれも小児に多く見られる疾患で、当院でも頻繁に診察しております。
ウイルス・感染症系
-
RSウイルス感染症・・咳や鼻水がメインの症状ですが、乳児では嘔吐を伴うこともあります。
-
アデノウイルス感染症・・高熱・下痢・嘔吐など多彩な症状を伴います。
-
インフルエンザ・・高熱とともに吐き気や嘔吐を訴えることがあります。
-
マイコプラズマ肺炎・・咳が長引く感染症で、咳き込みによる嘔吐が起こることも。
-
ヘルパンギーナ・・夏に流行する感染症で、のどの痛みにより飲食が困難となり、吐いてしまうことがあります。
-
突発性発しん・・熱が下がる直前や直後に嘔吐することがあります。
-
溶連菌感染症・・咽頭炎に伴い、胃腸症状として嘔吐がみられることもあります。
外科的疾患・緊急性が高いもの
-
腸重積・・突然の激しい泣きと嘔吐を繰り返し、血便を伴うこともある緊急疾患です。
-
虫垂炎(盲腸)・・腹痛・発熱とともに嘔吐を認めることが多く、早期診断が重要です。
-
川崎病・・全身の炎症による疾患で、嘔吐や発熱が持続します。
その他
-
りんご病(伝染性紅斑)・・初期に発熱や嘔吐を伴うことがあります。
-
水ぼうそう(水痘)・・発疹の前に体調不良として嘔吐することがあります。
-
風疹 ・・全身症状の一環として嘔吐が出ることもあります。
-
麻疹(はしか)・・全身症状の一環として嘔吐が出ることもあります。
※その他、皮膚症状が中心の疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、伝染性膿痂疹など)は、嘔吐との直接的な関係は少ないものの、全身状態を見て注意深く観察する必要があります。
嘔吐の対処と治療法
当院では、お子様の年齢や体格、嘔吐の頻度・回数、他の症状の有無に応じて、適切な対応を行っています。
1. 脱水の予防
-
吐いた直後は胃を休ませ、15~30分後に少量ずつ水分(経口補水液など)を与えます。
-
飲んでも再び吐く場合は、受診のうえ点滴が必要となることもあります。
2. 嘔吐の原因を特定するための診察・検査
-
問診と診察でおおよその原因を絞り込みます。
-
必要に応じて、尿検査・血液検査・エコー検査を行います。
-
頭部打撲がある場合は、神経学的な所見を慎重に確認します。
3. 症状に応じた薬の処方
-
胃腸の働きを整える薬や吐き気止めを処方する場合があります。
-
感染症が原因と疑われる場合は、その疾患に応じた対応を行います。
嘔吐についてのよくある質問
Q1. 吐いても元気なら様子を見て大丈夫ですか?
A1. 吐いた後に水分が取れていて、発熱やぐったりした様子がなければ、経過観察でも大丈夫なことが多いです。気になる症状があれば、早めにご相談ください。
Q2. 嘔吐と下痢が両方出ているのですが、何科にかかればいいですか?
A2. 小児科での診察が適しています。当院では、ウイルス性胃腸炎などの診断・治療を行っています。
Q3. 吐いた直後に水分を与えてもいいですか?
A3. 吐いた直後は胃が敏感な状態です。30分ほど時間を空けて、少量ずつ飲ませるようにしましょう。
