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不眠症

不眠のタイプ

「不眠症」と一言でいっても、その悩み方は人それぞれです。
主に4つのタイプに分けられます。

入眠障害

寝つきが悪いタイプです。
布団に入ってから眠りにつくまで、30分~1時間以上かかってしまいます。
「眠らなければ」と焦るほど、かえって目が冴えてしまう悪循環に陥りがちです。

中途覚醒

眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めてしまうタイプです。
物音や少しの尿意など、ささいなことで目が覚め、一度起きるとなかなか寝付けないこともあります。

早朝覚醒

自分が起きようと思っていた時刻より、2時間以上も早く目が覚めてしまい、その後、眠れなくなってしまうタイプです。
特にご高齢の方に多く見られます。

熟眠障害

睡眠時間は十分に足りているはずなのに、ぐっすり眠れたという満足感がなく、朝から疲労感が残っているタイプです。
「睡眠の質」が低下している状態です。

これらのタイプは、一つだけでなく、複数が重なって現れることも少なくありません。

不眠症の様々な原因

不眠の原因は、一つではありません。
あなたの生活の中に、眠りを妨げている原因が隠れているかもしれません。

心理的な原因

仕事や家庭での悩み、人間関係のトラブル、将来への不安といったストレス。
これが最も多い原因の一つです。
また、うつ病や不安障害といった、こころの病気の重要な症状として不眠が現れることもあります。

身体的な原因

関節の痛み、皮膚のかゆみ、夜間の咳、頻尿など、体の不快な症状が眠りを妨げます。
また、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」や、脚がむずむずしてじっとしていられなくなる「むずむず脚症候群」といった、睡眠を専門的に妨げる病気が隠れていることもあります。

生活習慣の原因

カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶など)の摂りすぎ、寝る前のアルコールや喫煙、不規則な勤務形態、そして夜遅くまでのスマートフォンやPCの使用(画面のブルーライトが脳を覚醒させる)などが挙げられます。

睡眠とアルコール

「眠れないから、お酒の力を借りて…」という方は少なくありません。
しかし、これは睡眠にとって最悪の選択の一つです。

アルコールは、確かに一時的に脳の働きを抑制し、寝つきを良くするように感じさせます。
しかし、その効果は短時間で切れ、アルコールが体内で分解されてできる「アセトアルデヒド」という物質が、逆に交感神経を刺激します。
その結果、睡眠の後半部分の眠りが浅くなり、中途覚醒(夜中に目が覚めること)の原因となってしまうのです。
また、利尿作用で夜中にトイレに行きたくなったり、毎日続けることで耐性ができて徐々に量が増え、アルコール依存症のリスクを高めたりします。

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不眠症の治療

当院では、まず生活背景や不眠の悩みを詳しくお伺いすることから治療を始めます。

治療の第一歩は「睡眠衛生指導」

薬を使わずに、生活習慣を整えることで睡眠の質を高めるための、具体的なアドバイス(非薬物療法)が治療の基本です。
これが最も安全で、根本的な解決に繋がる第一歩となります。

睡眠薬(睡眠導入剤)との上手な付き合い方

「睡眠薬は怖い」「一度飲んだらやめられなくなる」といったイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし、不眠の悪循環を断ち切るために、短期間、専門医の指導のもとで適切に使うことで、睡眠薬は非常に有効な治療法です。

現在は、依存性が少なく、翌日への持ち越しも少ない、安全性の高い様々なタイプの睡眠薬があります。
寝つきが悪い方には超短時間作用型、夜中に目が覚める方には短時間~中間作用型、といったように、あなたの不眠のタイプに合わせて最適な薬を選択できます。
医師の指導のもと、漫然と続けるのではなく、睡眠衛生の改善とともに出口(減薬・中止)を見据えて服用することが大切です。

背景にある病気の検索と治療

丁寧な問診を通じて、うつ病や睡眠時無呼吸症候群など、不眠の根本原因となる他の病気が隠れていないかを慎重に見極め、必要に応じて適切な検査や治療に繋げていきます。

質の良い睡眠のための「10のヒント」

毎日、同じ時刻に起きる

休日でも、起きる時間は平日とずらさないようにしましょう。
これが体内時計をリセットする最も重要な習慣です。

朝の太陽の光を浴びる

起きたらカーテンを開け、光を浴びることで、心と体が目覚めます。

日中に適度な運動をする

ウォーキングなどの軽い運動は、夜の寝つきを良くします。

自分なりのリラックス法を見つける

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴く、読書をするなど、心身の緊張をほぐす時間を作りましょう。

カフェイン・喫煙を避ける

就寝の4時間前からのカフェイン摂取、就寝1時間前からの喫煙は避けましょう。

寝酒はしない

睡眠の質を悪化させます。

寝る前のデジタル機器を控える

スマートフォンやPCのブルーライトは、脳を覚醒させてしまいます。

眠くなってからベッドに入る

眠くないのに無理に寝ようとすると、「眠れない」という不安が強まります。

ベッドの中で考え事をしない

ベッドは「眠る場所」と体に覚えさせましょう。

快適な寝室環境を整える

自分に合った寝具を選び、部屋の温度・湿度を快適に保ち、静かで暗い環境を作りましょう。

患者さんへ

不眠は一過性のものと思われがちですが、長期間続く場合には生活の質を著しく低下させることがあります。
睡眠は心身の健康維持において極めて重要です。
当院では、原因を丁寧に見極め、患者様一人ひとりに適した治療法をご提案しております。
お困りの際は、どうぞご相談ください。

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