下痢
下痢の種類
下痢の期間によって大きく2つのタイプに分けられます。
急性下痢と慢性下痢
急性下痢(2週間以内)
食べ過ぎや飲み過ぎ、ウイルス・細菌感染、ストレスなどが原因で起こる一時的な下痢です。
多くは数日から1週間程度で自然に良くなります。
慢性下痢(4週間以上)
下痢が1ヶ月以上続いている、あるいは良くなったり悪くなったりを繰り返している状態です。
過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)といった、専門的な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
ご自身の症状がどちらのタイプに近いか、まずは確認してみてください。
こんな症状は要注意!すぐに病院へ行くべき危険なサイン
もし下痢とともに以下の症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ずに、速やかに医療機関を受診してください。
- 38℃以上の高熱
- 便に血が混じる(血便)
- 我慢できないほどの激しい腹痛
- 嘔吐が続いて水分が摂れない
- めまい、ふらつき、口の渇きなど脱水症状がある
- 急激な体重減少
これらの症状は、重篤な感染症や病気の兆候である可能性があります。
特に、ご高齢の方やお子様は脱水症状に陥りやすいため、注意が必要です。
下痢の原因
下痢は、腸の水分吸収がうまくいかなかったり、腸の動きが活発になりすぎたりすることで起こります。
その引き金となる原因は、実にさまざまです。
食生活の乱れ・暴飲暴食
脂っこい食事(天ぷら、揚げ物など)、香辛料を多く使った刺激の強い料理、アルコールの飲み過ぎは、腸に大きな負担をかけ、下痢の原因となります。
また、冷たい飲み物や食べ物を一度にたくさん摂ることも、腸を冷やして動きを乱す一因です。
ストレス(過敏性腸症候群:IBS)
脳と腸は「脳腸相関」といわれるほど密接に関係しています。
通勤ラッシュや仕事のプレッシャー、人間関係といった精神的なストレスを感じると、自律神経が乱れ、腸が異常な動きを起こすことがあります。
これが「過敏性腸症候群(IBS)」です。
特に、検査をしても腸に炎症などの異常は見つからないのに、ストレスがかかると下痢や腹痛、便秘を繰り返すのが特徴で、真面目で責任感の強い方に多い傾向があります。
ウイルス・細菌感染(感染性胃腸炎)
ノロウイルスやロタウイルス、食中毒の原因となるカンピロバクター、サルモネラ菌などに感染することで起こる下痢です。
激しい下痢や嘔吐、腹痛、発熱などを伴うことが多く、非常に感染力が強いものもあります。
薬の副作用
病気の治療のために服用している抗生物質が、腸内の善玉菌まで殺してしまい、腸内環境のバランスが崩れて下痢を引き起こすことがあります。
その他、痛み止めや一部の胃薬、サプリメントなどが原因となる場合もあります。
背景に隠れた重大な病気の可能性
長引く下痢の場合、以下のような病気が原因となっていることも考えられます。
- 炎症性腸疾患(IBD): 潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸に慢性的な炎症が起こる病気です。
下痢や血便、腹痛、体重減少などの症状が長く続きます。 - 大腸がん: 初期症状はほとんどありませんが、進行すると便秘と下痢を繰り返したり、血便が出たりすることがあります。
「ただの下痢」と軽く考えず、症状が続く場合は専門医による正確な診断を受けることが何よりも大切です。
つらい症状でお悩みの方は、我慢せずご相談ください。
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下痢の時の過ごし方
- 安静にする: 体力を消耗しやすいため、無理せずゆっくり休みましょう。
- お腹を温める: 腹巻やカイロ、温かい飲み物などでお腹を温めると、腸の過剰な動きが和らぎ、痛みが楽になることがあります。
- こまめな水分補給: 下痢の時は体から多くの水分と電解質が失われ、脱水症状になりがちです。
水やお茶だけでなく、体に吸収されやすい経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ、こまめに飲むようにしましょう。
食事のポイント
腸に負担をかけないよう、消化に良い食事を心がけることが基本です。
おすすめの食べ物・飲み物
おかゆ、やわらかく煮込んだうどん
すりおろしリンゴ、バナナ
豆腐、卵、白身魚、鶏のささみ
野菜スープ(具材は細かく刻む)
白湯、麦茶、経口補水液
避けたほうが良い食べ物・飲み物
ラーメン、カレー、揚げ物など脂っこいものや刺激の強いもの
ごぼう、きのこ、海藻など食物繊維が多いもの
牛乳、ヨーグルトなどの乳製品(※人によります)
コーヒー、紅茶などカフェインを含むもの
アルコール、炭酸飲料
市販薬との付き合い方
急な下痢に、市販の下痢止め薬は心強い味方です。
しかし、使い方には注意が必要です。
特に、ウイルスや細菌感染が原因の場合、下痢止め薬で無理に下痢を止めると、原因となる菌や毒素を体内に留めてしまい、かえって回復を遅らせることがあります。
市販薬を2~3日使用しても症状が改善しない場合や、前述した「危険なサイン」が見られる場合は、使用を中止して必ず医療機関を受診してください。
当院の特徴
セルフケアを試しても症状が改善しない、あるいは下痢を繰り返してしまう場合は、ぜひ当院にご相談ください。
当院では、消化器病専門医・内視鏡専門医である院長が、患者さん一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、的確な診断と治療を行います。
患者さんの不安に寄り添う診療
「こんな症状で病院に来ていいのかな…」とためらう必要は全くありません。
私たちは、患者さんが感じているつらさや不安な気持ちに寄り添い、「いつものこと」と片付けずに、根本的な原因を突き止めることを最も大切にしています。
専門医による正確な診断のための検査
症状や診察内容に応じて、以下のような検査を組み合わせて原因を詳しく調べます。
血液検査
炎症の程度や貧血の有無、栄養状態などを確認し、全身の状態を把握します。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
長引く下痢や血便の原因を調べる上で、最も重要な検査です。
肛門から内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察することで、IBDや大腸ポリープ、がんなどの病気を発見できます。
当院の大腸カメラの特徴
「大腸カメラは痛くてつらい検査」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
当院では、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、さまざまな工夫を凝らしています。
鎮静剤(静脈麻酔)の使用
うとうとと眠っているようなリラックスした状態で検査を受けられます。
ほとんどの方が「気づいたら終わっていた」とおっしゃいます。
経験豊富な専門医による挿入技術
消化器内視鏡専門医である院長が、スコープの視野を確保しつつお腹の張りを最小限に抑える「弱送気軸保持短縮法」という技術で、丁寧かつ迅速に内視鏡を挿入します。
炭酸ガス(CO2)の使用
検査中にお腹を膨らませる際に、空気の代わりに体への吸収が速い炭酸ガスを使用します。
これにより、検査後のお腹の張りや不快感を大幅に軽減できます。
適切な下剤の使用
当院では原則、ご自宅で下剤を内服いただいています。
クリニックのトイレは数に限りがありますし、ご自宅のほうが落ち着いてテレビなど好きな事をしながら下剤処置を行うことができます。
また、当院では下剤の味が苦手な人用に、ピコプレップというオレンジ味に近いとても飲みやすい下剤を採用しています。
遠方の方は、クリニック内で下剤を内服いただいています。
一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療
検査で原因が特定できたら、それぞれの症状や病状、ライフスタイルに合わせた治療をご提案します。
薬物療法
腸の動きを整える薬、腸内環境を改善する整腸剤、炎症を抑える薬、過敏性腸症候群(IBS)の治療薬など、最適な薬を処方します。
生活習慣指導
薬だけに頼るのではなく、日々の食事内容やストレスとの向き合い方など、根本的な改善に向けたアドバイスも丁寧に行います。
患者さんへ
下痢は、様々な原因で起こりますが原因が分からないと不安に感じますし、症状もつらいため日常生活に影響がでます。
最近は若い方から高齢者まで過敏性腸症候群(IBS)の方が増えています。
当院ではIBSの診断と治療に精通した医師が診療していますので、ご安心ください。
おかしいなと感じたら、当院までご相談ください。
